『アイスブレイク』 と 『言葉の力』

言葉の力

ガラス越しの陽ざしには春の柔らかさを感じるのに、外の空気はいつまでも冷たく尖がっています。毎日のように記録破りの積雪のニュースを聞いた今年の冬でしたが、そろそろ ♫雪が溶けて川となって流れていきます~♫ でしょうか。

ミーティングのオープニング

 ミーティングや会議を始める時の最初のひと言は、意外にむずかしいものです。「それでは時間になりましたので、ミーティングを始めます」のようなザ定型文でもまったく問題なく始めることはできますが、ミーティングや会議をどのような言葉でスタートさせるかは、その場の雰囲気作りにとても大きく影響しています。ミーティングの参加者が、初参加で緊張・いつものことで慣れている・積極的・消極的・・・・・、そんなミーティングの司会を任された場合、それぞれの温度差を感じながらのスタートはちょっときついです。

アイスブレイク

 ミーティングを上手く始める方法としてアイスブレイクというテクニックがあります。文字どおり“氷を割る” ICE BREAKです。ミーティングを始める前の緊張感を氷に例え、それを割ることで、緊張感を開放させることを言います。

その1・ 不特定多数の人が参加するミーティング、初対面が多い場合

自己紹介はアイスブレイクとしての効果があります。ただし、名前や肩書を述べるだけの自己紹介でなく、名前+自分のグッドニュースや、自分の推しなどをプラスして行います。例えば、今朝電車の窓からきれいな飛行機雲を見つけたことをグッドニュースとして加える、推しのプロ野球チームへの期待度をプラスするなど、自分の気持ちを入れた自己紹介は印象に残るものです。

その2・ お互いに何となく知っているけど・・・という場合

 他己紹介もアイスブレイクとして有効です。となりに座った人とペアを組み、5分ほど打ち合わせに時間を作り、その後お互いを紹介しあうのです。ミーティングのウオーミングアップとしてちょうどいい感じで脳が活性化されることもあり効果的です。

ほかにも、ゲームやクイズをする参加型のアイスブレイクの方法もありますが、これらの情報はネット上に溢れていますから、興味があればチェックしてみてください。

アイスブレイクと言葉の力

ここからは司会役の腕の見せどころ“言葉の力”を駆使したアイスブレイクについてです。

場の空気を和ませたり、緊張感を和らげるのには、ユーモアやウイットを含んだコメントがとても効果的です。オープニング前の緊張した空気を、言葉の力でニコッ(ニヤリ)とさせることができたらアイスブレイクは成功、緊張感は溶けていくはずです。

コツは、ミーティングを始める前、オープニングコメント(この場合は定型文でもOK)の前に、さりげなく話し始めオープニングにつなげることです。

例えば:

まもなくミーティングを始めます。本日のファシリテーターは○○が務めます。 

「皆さんには乗るのが恐い乗り物はありますか?自分の恐い乗り物の一つはジェットコースターでしたが、先日家族にせがまれて初めて乗ってみました。ところが意外にも爽快で、今まで乗らなかったことを後悔しました。実はもう一つ恐い乗り物があるのです・・・・・。それは「体重計」です。今の自分が乗ったら、絶対後悔する恐い乗り物です。

(定型文)それでは、ミーティングを始めます。」

これは、以前自分がファシリテーターとしてミーティングに参加したときのアイスブレイクです。

参加者の一人がミーティングの参加者のなかに久しぶりに会った知り合いを見つけ、ミーティングが始まる前にお互いの健康診断の結果や体重の話をしていました。

自分にはどのような人たちが参加するのか事前に知らされていましたが、始まる前のリアルな会話からファシリテーションにつながるヒントが得られるため、ミーティング前にも参加者の会話に耳を傾けます。この「乗るのが恐い乗り物」の話は事前に用意したものではなく、参加者の健康診断や体重の話にヒントを得てアイスブレイクにしたものです。

『オープニングの前に軽くアイスブレイク話をしてから、ミーティングを始める』これがベストです。

オープニングコメントを言ってからアイスブレイク話を入れるのはお勧めしません。ミーティングの内容に関連させなければならなくなりハードルが高くなります。

アイスブレイクのセンス

「緊張感を和らげ、コミュニケーションにつながるアイスブレイクは、ミーティングや会議の時だけに効果があるものではありません。営業などで多くの人に会う場合や、初対面で好印象を残すためには“言葉の力”が大きいです。話し始めるとき、名刺交換の時などに、アイスブレイクが印象形成に影響を与えます。

ハードルが高い?

いえいえ、そんなことはありません。

例えば、挨拶のとき よく天気の話をしますが、これに自分の言葉を加えるだけでも十分です。

「いいお天気ですね。ビルのガラスに青空が映ってきれいです。」

「暑いですね。汗をかいた分だけ体重が減ってくれる暑さも我慢できますが」など、ちょっと会話に余裕を感じさせます。

気の利いた一言は、アイスブレイクに通じるものがあります。

アイスブレーカー

ところで、ここまでアイスブレイクという言葉を使ってきましたが、実はこれ、ノートパソコンやガソリンスタンド、サラリーマンなどと同じ和製英語です。正しくはIcebreaker(アイスブレーカー)

英語で表現するときはアイスブレーカーと変換することをお忘れなく。

Break the ice

 場の空気を和ませる・緊張感を和らげようとするとき、言葉の力で柔らかくすることができるスキルを持っていると、その応用範囲はとても広いです。 

時にはユーモアやウイット、ダジャレのセンスも駆使してグッドアイスブレーカー。

すべっても、すべっても、諦めないで!